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地積測量図の見方を見本を元に説明します。【作成者も必見】

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「地積測量図」は一見難しそうな測量図面ですが、記号や表などの見方を覚えてしまえば意外と読み解くのは簡単です。

今回は、

  • 地積測量図の見方がわからなくて困っている。
  • 地積測量図を作成するのに見本を見たい。

とお困りの方に、地積測量図の見本を元に記載事項や見方を丁寧に解説していきます。

この記事に一通り目を通せば、地積測量図をあなた自身で読み解くことが出来るようになりますので、是非最後までご覧ください。

また、そもそも地積測量図とは何かや、取得方法を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

>> 地積測量図とは何?なぜ自分の土地の図面がないのか理由を説明します

>> 地積測量図を法務局とオンラインで取得する方法を徹底解説

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現在の地積測量図の見本

図面を作成する人

では、早速地積測量図の見本を見てみましょう。

地積測量図の見本(平成27年)
現在使用される地積測量図の見本 (画像クリックで拡大)

上の見本は、もともと「(旧)854番136」の土地を「854番136」、「854番214」、「854番215」の3筆に分筆登記した際に添付された地積測量図です。

※ 土地の数え方は「〇〇筆(ひつ・ふで)」と数えます。

地積測量図は作成された年代によって記載事項や単位が異なりますが概ね、現在の必須事項としては以下のようになっています。

  1. 地番区域の名称
  2. 方位
  3. 縮尺
  4. 当該地の地番および隣接地の地番
  5. 地積およびその求積方法
  6. 筆界点間の距離
  7. 国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号
  8. 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
  9. 境界標(筆界点にある永続性のある石杭又は金属標その他これに類する標識をいう)があるときは、当該境界標の表示
  10. 測量の年月日

出典:地積測量図 – Wikipedia

また、年代ごとの地積測量図が具体的にどのように異なるのかについてはこちらの記事「地積測量図は新しいものほど精度が高い理由を歴史を元に説明」をご覧ください。

それではそれぞれの項目について見ていきましょう。

①地番区域の名称

地番区域の名称とは、土地の所在を表したモノ。

地番地域の名称の見本

図面枠の右上一段目に地番、二段目に所在地が記載されています。

地番は「〇〇番〇〇」の場合は、「〇〇-〇〇」などのようにハイフンで区切られたりします。

なお、地番について詳しく知りたい方はこちらの記事「土地の地番って何?厳密に住所とは異なります。【調べ方も解説】」をご覧ください。

なお、所在に関しては、東京都から記載する作成者もいれば、市区町村から記載する作成者います。

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②方位

どの測量図面もそうですが、方位を表す記号(方位記号)が記載されています。

方位記号の見本

見本でもそうですが、慣例的に図面の上記載します。

また、作成者により様々なデザインがありますが、矢印の先が北を指しており、できるだけ図面上が北になるように調整されています。土地の形状から左右方向が北になってしまうこともありますが、図面下を北にすることはほぼありません。

③縮尺

右下に縮尺を記載します。

縮尺の見本

縮尺とは現地の実際の寸法を「1」として、図面上でどのくらい縮めているかを表した数値。

地積測量図は縮尺250分の1で作成することが一般的となっています。

つまり、この図面を250倍に広げると現地と同じ大きさになります。

なお、250分の1のことを図面上では「1/250」と右下に記載します。

土地が大きすぎて地積測量図に収まりきらない場合

地積測量図では土地の形状(区画)は図面の右半分に記載します。

もし、土地が大きすぎて図面に収まりきらず、あまりにも左半分にはみ出てしまう場合は500分の1で記載したり、1ページ目に土地の形状、2ページ目に求積表を記載されることもあります。

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④当該地の地番および隣接地の地番

土地の形状を示す部分(図面の右半分)には当該地を中心として、その地番と隣接地の地番を記載します。

また、隣接地と隣接地の境界線に関しては以下図のようにヒゲ線をひき、大体の位置関係を示します。

ヒゲ線の見本
赤い矢印の箇所がヒゲ線

例えば、見本の例だと当該地と隣接地はそれぞれ以下のようになります。

見本の例
  • 当該地…「854-136」、「854-214」、「854-215」
  • 隣接地…「693」、「694-2」、「854-70」、「854-71」、「854-73」、「854-101」

そして、特に注目するポイントが隣接地の「693番」ですが当該地である「854番136」とは点で接しています。

四者境で接する境界点

境界線と聞くと線をイメージしますが、この様に「点で接している」場合も重要な隣接地となります。

この場合、境界点「P7」は「854番136」、「693番」、「694番2」、「854番73」の四者境などと言ったりします。

⑤地積およびその求積方法

地積(土地の面積)とその求積方法を記載します。

座標求積表の見本

具体的には、地積測量図の左側半分に座標求積表という地積を求めた表を記載します。

座標求積表とは座標値という数値から、面積を計算した結果を記載した表で、これを見れば地積が一目瞭然でわかります。

昔は土地を複数の三角形に仮分割し、その各三角形の面積を計算、合計するという三斜法による面積計算が主流でしたが、現在は各境界点の位置関係をX軸、Y軸の座標値に落とし込み、座標値から面積を求める座標求積がスタンダードとなっています。

なお、三斜法であれば定規を使って自分で面積を計算をすることもできます。

詳しいやり方についてはこちらの記事「小学生でもできる土地の面積の求め方【図面と三角定規があればOK】」をご覧ください。

⑥筆界点間の距離

筆界点間の距離を単位mで記載します。

「筆界点」とは「境界点」のことです。

つまり、「境界点」と「境界点」までの距離を〇〇.〇〇mのようにメートル表示で最低でも小数第2位(センチ)まで表記します。

地積測量図の区画の見本

見本の場合、15.100など小数第3位まで記載されていますので、ミリまで読み取ることが出来ます。

ただ、後ほど説明する座標値がそもそもミリまでを表しているため、仮に辺長がセンチまでしか表示されていなくても計算でミリまで求めることが可能です。

また、地積測量図は直線中にある境界点の距離を明記する必要ありません。

あくまで曲がり部分から曲がり部分までの距離を明記します。

直線中の境界点

例えば、当該地「854番136」と隣接する「854番71」と「854番73」の三者境ですが、地積測量図上には境界点の記載がありません。

これはすなわち「854番136」の東側(境界点26907S10からP7まで)は一直線であるということが分かります。

もしかしたら、現地に行くとこの三者境のポイントに境界標識があるかもしれませんが、当該地積測量図に記載の必要はありあません。

⑦国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号

これは、専門的で少し難しい話ですので、深く理解する必要はありません。

平面直角座標系の番号又は記号の見本

測量の座標値は以下のように大きく分けて二種類あります。

  • 世界測地系
  • 任意座標系

順番に説明します。

世界測地系

世界測地系とは全世界共通で位置を特定することが可能な座標系のことです。

世界測地系で図面を作成することによるメリットは、震災などで境界標が動いてしまったりそもそも無くなってしまった場合も、正確な位置に復元することが可能です。

ただし、デメリットとしては世界測地系の公共基準点(測量器械を据えるポイント)が当該地の近くにない場合などは遠くから繋げる必要があり、その場合測量費用が高くなることと、世界測地系の座標値は桁数が多いため、管理が面倒になることです。

そのため、地積測量図は原則、世界測地系を使って作成しますが、公共基準点が近くにない場合は各作成者の任意の座標値での作成が認められます。

今回のケースですと「24B.5」、「24B.6」、「24B.14」、「24B.15」が公共基準点です。

任意座標系

任意座標系とは作成者ごとに原点が異なる座標系のことです。

下図の例のように公共基準点が近くにない場合は、任意座標値を使用します。

任意座標を使った地積測量図の見本
任意座標が使用されている例

⑧基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値

地積測量図には境界点(筆界点)の座標値を必ず記載します。

この測量座標ですが、単位はメートルで少数第3位まで記載されます。

例えば、見本の求積表一番上の行、SM2-1という境界点ですが、X軸が-38451.955、Y軸が-20198.130となっています。

座標値の見本

これはつまり、原点(X 0.000,Y 0.000)からX軸方向に-38km451m95cm5mm行き、Y軸方向に-20km198m13cm0mm進んだ場所がSM2-1というポイントですよ。ということを表しています。

座標値の見本

境界点の座標値は座標求積表に記載されているため、絶対ではありませんが別で明記する作成者もいます。

また、それとは別に基準点と引照点と呼ばれる復元に必要な座標値も共に明記します。

余談ですが、数学で習う座標は横がX軸、縦がY軸ですが、測量系の場合、横がY軸、縦がX軸になります。

⑨当該境界標の表示

当該地に境界標識が埋設されている場合、その標識がコンクリート杭なのか、金属標なのか、金属鋲なのかを記載します。

求積表に記載された境界標の表示例

なお、境界標識についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事「境界点ってどこ?コンクリート杭や金属プレートなど標識の種類も解説」をご覧ください。

また、境界点のポイントに建物が越境して建っているなど、構造物があり、物理的に埋設が不可能である場合や、今後工事をする関係で境界標が取れてしまうことが予想される場合は「計算点」として明記されます。

⑩測量の年月日

下図のように測量された日付を「測量年月日」として図面内に記載します。

測量年月日の記載例

また、図面下の枠左側に作成者(通常は土地家屋調査士)の住所・氏名・作成年月日、右側に申請人(土地所有者)の氏名が明記します。

作成者と申請人の記載箇所の見本

地積測量図の見方を見本を元に説明:まとめ

チェックリスト

以上が現在の地積測量図に記載されている事項であり、言わば今のスタンダードです。

このように、地積測量図は不動産登記規則77条等により、作成方法にある程度の決まりがありますが、方位記号などのデザインなどは作成者ごとに違いがあります。

地積測量図の見方を完璧にマスターすることで、その土地の面積や境界点間の寸法、境界標識の種類など、様々な情報を読み解くことができるようになります。

当記事を参考に、まずはあなたがお持ちの地積測量図を読み解いてみてください。

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