- 緊急地震速報はなぜ誤報が出てしまうのか。
- システムの仕組みを知りたい。
- 2020年7月30日の地震の誤報で考えられる原因は何?
こんな疑問に答えます。
結論、緊急地震速報は異なる震源地で複数の地震が発生すると、誤報を出すことがあります。
本記事では、緊急地震速報のシステムの仕組みを紹介するのとともに、どうして誤報が起きるのかをわかりやすく解説します。
参考にすれば、2020年7月30日の緊急地震速報でなぜ誤報が起こったのかの仮説を理解することができます。
どうぞ、ご覧ください。
緊急地震速報とは
まず、緊急地震速報と言っても2種類あります。
- 緊急地震速報(警報)
- 緊急地震速報(予報)
どちらも気象庁により発表されるものですが、私たちが「緊急地震速報」と聞いて想像するのは「緊急地震速報(警報)」の方です。
あの不安を煽るチャイム音は警報の方。
現在のスマホではデフォルト設定で鳴るようになっています。
チャイム音はNHKのページで聞くことができます。
緊急地震速報(警報)と(予報)の違い
緊急地震速報(警報)は気象庁にて、次の基準を満たすと発表されます。
- 地震波を2箇所以上の地震観測点で観測。
- 最大震度5弱以上と予想。
- 震度4以上が予想される地域を対象に発表。
この場合、テレビやラジオ、スマホなどであの例のチャイム音(報知音)が流れます。
一方、緊急地震速報(予報)の場合は、(警報)発表の基準に満たなかった場合の小さな地震を観測した場合。
この場合も一応、各メディアに発表はしますが、緊急地震速報のチャイム音は流れません。
テレビの地震速報などはこの(予報)を利用したもの。
緊急地震速報の仕組み
まだ、揺れてもない大地震を予測する仕組みは「2種類の地震波の到達時間差」を感知するといもの。
どういうことかというと、地震がおこると以下2つの地震波を発します。
- P波(縦波)
- S波(横波)
観測地点では、P波の方が先に伝わり、その後にS波が伝わってきます。
で、大きな被害を出すのはS波なんです。
そのため、P波を観測した時点で規模を予測し、それが大きければS波に備えて緊急地震速報を発表するのです。
なぜ緊急地震速報で誤報が起きるのか:理由
緊急地震速報の誤報が起きる理由の一つは「震源地の異なる、複数の地震が起きたことによるコンピュータの誤判断」が考えられます。
例えば2020年7月30日の9:38頃に緊急地震速報(警報)が発表されました。
発表時、気象庁は「千葉県南方沖」を震源としたマグニチュード7.3の強い揺れへの警戒を呼びかけましたが、全く揺れませんでした。
つまり、誤報だったのです。
この原因を後に「実際は予想した震源地とは異なる、伊豆諸島の鳥島沖を震源とするマグニチュード5.8の地震だった。」と謝罪しました。
千葉県南方沖と鳥島沖とではおよそ450kmも離れています。
今回、以下2つの誤報が起きています。
- 震源地の位置
- 地震の規模マグニチュードの大きさ
これらの誤報で考えられる一つの理由は、震源地をするコンピュータが誤った判断をして、位置やマグニチュードを特定してしまったことがあげられます。
具体的には、規模の小さい震源地の異なる複数の地震が同時に起こると、それらの観測データが混ざり合ってあたかも大きな一つの地震が起きたと判断してしまうことがあるのです。
もちろん、場所も異なった位置で、マグニチュードも増減します。
これに関して詳しくは、神奈川県温泉地学研究所 明田川保氏の記事「緊急地震速報は、なぜ間違えるのか」が非常にわかりやすいです。
今回の地震では気象庁の公式ではこのように発表はされていませんが、こういった可能性が考えられるのではないでしょうか。
なぜ緊急地震速報の誤報がでるのか:まとめ
以上、緊急地震速報は気象庁により、2種類の地震波をキャッチし震源地やマグニチュードを予測観測し、大きければ警報として発表します。
このとき、複数の地震が起こってしまうと、コンピュータが誤った判断をだしてしまい、場所や規模が実際とはかけ離れたものになってしまうのです。
ただ、緊急地震速報は例え誤報を起こす不完全なシステムだとしても、万が一大きな地震が起きたときに命を守ってくれる素晴らしいシステムであるため、多少の誤報は多めに見るべきですね。