- 松村真宏教授の仕掛学ってなに?
- 仕掛学をつかった具体的な例を知りたい。
こんな要望に応えます。
結論、仕掛学とは「人間の心理を読み、自然に行動を促し、問題を解決するための学問」です。
コロナ渦で今、とても感染拡大予防として注目されている学問の1つです。
本記事では、「仕掛学」がどういう学問なのか、具体例を混ぜつつ紹介しています。
誰でもかんたんに「仕掛学」が理解できます。
どうぞ、ご覧ください。
仕掛学とは?
仕掛学とは「人間の心理を読み、自然に行動を促し、問題を解決するための学問」です。
大阪大学の松村真宏教授が提唱している学問です。
仕掛学の定義について松村先生は次のように語っています。
- 具体的なものが引き金になる
- 特定の行動を促す
- その行動によって問題を解決する
例えば、間違った行動を取る人に対して、正論を言ったとしても伝わりません。
そこに、自然と動いてしまう「何か」を仕掛けるのです。
そうすると、その人は素直に従ってしまうというものです。
この「何か」について心理学的に考えた学問と言えます。
仕掛学を思いついたきっかけ
大阪大学の教授をしていた松村真宏教授ですが、もともと、人工知能の研究をされていました。
ところが研究者が多くなかなか独自性を出せずにいたそうです。
そこで、新しい研究テーマを探していた中、「仕掛学」が生まれるきっかけとなる展示物と出会ったそうです。
それが、大阪の天王寺動物園にある「象のフン」の展示物だったそうです。
具体的に紹介すると、動物園内の通路の一角に、子どもの目線の高さに合わせた望遠鏡のような筒がセッティングされていたそうです。
その筒を覗くと、その先には「象のフン」のレプリカが見えたそうです。
これを見た時、先生はひらめいたそうです。
普通であれば通り過ぎてしまうような地味な展示物ですが、その筒が「引き金」となって、人に「覗く」という行為を促したのです。
仕掛学の具体例
仕掛学を使った具体例を紹介します。
- バスケットゴールが着いたゴミ箱
- エスカレーターの混雑解消実験
- 真実の口を使った消毒液
- ティッシュ配りを成功させる実験
1つずつ見ていきます。
バスケットゴールが着いたゴミ箱の例
街にゴミ箱が2つあります。
1つは普通のゴミ箱。
もう1つはゴミ箱の上にバスケットゴールが着いたもの。
これを見て、人は自然とゴミ箱にゴミを捨てるようになり、ポイ捨ては無くなるのです。
エスカレーターの混雑解消実験の例
大阪駅で通勤ラッシュ時にエスカレーターが混雑してしまうのを解消できないかと試された実験。
エスカレーター横にある階段を左側「福島派」、右側「天満派」に分け、「アフター5に行くならどっち?」という看板を立てました。
どちらかを通ることで、センサーが人数をカウントし投票できるという仕組みを作ったのです。
そうしたところ、階段を使う人が続出。
見事、エスカレーターの混雑が解消したのです。
真実の口を使った消毒液の例
昔、日本で流行った「真実の口」というイタリアの石の彫刻のレプリカを覚えていますか?
口のなかに手を入れると手相占いをしてくれるというもの。
これを、占いではなく消毒液に変えたのです。
特に子ども世代などは真新しく感じるため、手を入れると消毒液が噴射されるというもの。
説明は不要で手を入れたくなってしまうユーモアのある例。
ティッシュ配りを成功させる実験の例
こちらは、フジテレビの番組「所JAPAN」で行われた実験。
忌み嫌われる街角の「ティッシュ配り」。
効率良く配る2つの方法を松村先生が考えました。
- マジックハンドを使って配る。
- テーブルの上にポケットティッシュと「身だしなを整えるのにお使いください。」という看板を置き、その後ろに鏡を設置する。
普通に配った場合、1時間で14個しか受け取ってくれなかったのに対し。
1つ目の方法だと、69個。
2つ目の方法だと、52個受け取ってもらうことに成功。
コロナの感染拡大防止対策にも繋がる
「仕掛学」はコロナの感染拡大防止対策にも注目されています。
コロナ渦の中、政府の「外出を自粛しましょう」という言葉に対して若者の心にはあまり響かないことは事実でしょう。
人間は「やるな」と言われると心理的にしたなります。
これをカリギュラ効果といい、仕掛学のテクニックの1つとして用いられます。
つまり、政治家のように頭ごなしに正論を言うのではなく、心理的に行動を促す「仕掛学」はコロナウイルス感染拡大防止にピッタリな学問と言えるのです。
こんなのとか、面白いですよね。
仕掛学の新規性と親近性
仕掛学の全てに共通するのは次の2つの要素。
- 新規性
- 親近性
新規性とは真新しいもの。人は珍しいものに引き付けられ興味を持ちます。
そして、親近性とは親しみやすく、近づきやすい、何か心理的に安心感があるものに心を許します。
この2つがそろうと、人は自然と従ってしまうのです。
これが、仕掛学の基本です。
コロナ対策に最適な学問「仕掛学」とは:まとめ
仕掛学とは「人間の心理を読み、自然に行動を促し、問題を解決するための学問」でした。
無理に行動させず、自然と促す。
そして、それには「新規性」と「親和性」の2つの要素が大切だということです。
スタンフォード大学でも教えられている「仕掛学」今後、世界でもっとメジャーな学問がくるのではないでしょうか。
もっと、詳しく知りたいかたは松村先生の著書をどうぞ。