- 土地家屋調査士の仕事はきついの?
- きついなら目指すのを辞めようかな。
こんな疑問に答えます。
結論は、「最初はきついですが、慣れの部分が大きいので気にする必要はなし」です。
今回、土地家屋調査士の仕事のどの部分がきついと感じるか、「肉体的きつさ」と「精神的きつさ」に分けて具体的にご紹介します。
この記事を読めば、土地家屋調査士の仕事できついポイントがわかり、あなたが土地家屋調査士を目指すべきかどうかを判断できるようになります。
どうぞ、ご覧ください。
土地家屋調査士の現場作業は肉体的にきつい
土地家屋調査士の現場仕事は肉体的にきつかったりします。
具体的には次のような感じ。
- 夏は暑くて、日に焼ける
- 虫刺され
- 境界標探し(石探し)
- コンクリート杭の設置(石入れ)
一つずつ順番に見ていきます。
夏は暑くて、日に焼ける
夏の現場は本当に地獄です。
アスファルトからの照り返しで暑いし、日に焼けます。
ひと夏終わった土地家屋調査士や補助者の肌はこんがりこんがり小麦色です。
そのため、日焼けどめは必須ですし、女性にとってはかなりきついかもしれません。
虫刺され
また、虫刺されもすごいです。
これ毎回地味にきついです。
とくに春は毛虫、夏場は蚊に要注意です。
土地家屋調査士のしごとは道路での測量だけでなく、庭の中に入り、ブロック塀の際にある境界標を探して測ります。
そのため、そこに辿り着くまでに生い茂った草をかき分けて進んでいきます。
こういう場所は虫が好んで生息しています。
結果として、その日の現場が終わると何箇所も蚊に刺されています。
境界標探し(石探し)
次にきついと思うのは「石探し」です。どのくらいきついかというと、「手の握力がなくなる」ほどです。
石探しとは過去の図面をたよりにコンクリート杭などの境界標を探すことです。
具体的には法務局に保管されている地積測量図を見ながら現地で境界標があるかを探します。
土を少しかき分ければ境界標が見えるような場合は全然楽勝です。
問題は、ぱっと見で見つからない場合。
この場合、気が済むまで探します。
土であればダブルスコップという道具を使って深さ1m近く穴を掘ります。
また、コンクリートやアスファルトで覆われている場合は、所有者の許可を得てハンマーとタガネという道具を使い、人力で壊します。
これが結構な肉体仕事できついです。
場合によっては現場が終わると腕の筋力や握力がなくなるくらいヘトヘトになります。
なぜ、これだけ必死になって石探しをするかというと、古い境界標があるのとないのとではその後の「立会」の進み具合が変わるからです。
地積測量図に示されている境界標がそこに存在していれば、隣地の人はそこで境界を認めざるおえません。
古い境界標があるというのは、かなり強い根拠となります。
つまり、土地家屋調査士にとって「石探し」は超大切な仕事うちの1つなのです。
そのため、結果的にきついと感じるほど必死になって石探しをするのです。
地積測量図について詳しく知りたい方はこちらの記事「地積測量図とは何?なぜ自分の土地の図面がないのか理由を説明します」をご覧ください。
コンクリート杭の設置(石入れ)
逆に、石入れも結構きつかったりします。
石入れとは、新たに決めた境界点に境界標を設置することです。
境界標の種類は様々ですが、コンクリート杭が入りそうなポイントにはコンクリート杭を埋設します。
埋設の仕方は下の図のようにコンクリート杭の長さと太さプラスαで穴を掘りセメントで固めて設置します。
このとき、コンクリート杭の長さが45cmくらいであれば大したことはないのですが、道路ぎわに設置する杭は役所が用意したりします。
これが結構長い杭を渡されるケースがあります。
具体的には1m近くある場合もあり、「メートル杭」などと呼ばれ恐れられています。
これが何本もあると仕事としてはかなりきついです。
境界標について詳しくはこちらの記事「境界点ってどこ?コンクリート杭や金属プレートなど標識の種類も解説」をご覧下さい。
土地家屋調査士は精神的にきついことも
土地家屋調査士の仕事は肉体的だけでなく、精神的にきついこともあります。
例えば以下のようなもの。
- 決済日に追われながらの不動産屋とのやり取り
- 境界立会で気疲れ
- 境界確認書のはんこもらい
具体的にみていきましょう。
決済日に追われながらの不動産屋とのやり取り
決済日に追われながらの不動産屋とのやり取りは精神的にきついです。
土地家屋調査士のクライアントは「不動産屋」である場合と「地主」である場合があります。
前者の場合は、不動産屋が土地を仕入れて分譲し、建売などする場合。
後者は地主が土地を売りたい場合などがこれに当てはまりますが、大半は仲介の不動産屋を通して土地家屋調査士とやり取りをします。
つまり、どちらのケースでも「不動産屋」とのやり取りは、ほぼ必須です。
そして、何より怖いのが「決済日」です。
決済日とは売り主側と買い主側の取引が実際に実行される日のことです。
つまり決済日とは土地家屋調査士にとっての締め切りでもあり、それに間に合うように仕事を進めていかなければいけません。
余裕を持って決済日を設定してくれる不動産屋はいいのです。
一方、早くお金が欲しいため、決済日をかなりタイトに設定されている案件はかなり焦ります。
土地の境界を決めるというのは隣地の都合もあるため、急がせるのタブーです。
せかして、相手を怒らせたりでもしたら、本来決まる境界も決まらなくなってしまうのです。
境界立会で気疲れ
境界立会はかなり気疲れします。
境界立会とは土地の所有者同士が実際に現地に集まり、境界標がどこに来るのかを目視で確認するものです。
隣地の所有者も土地の境界線を決めるとなると、かなりシビアになります。
ここで、相手の機嫌を損ねないように土地家屋調査士は中立の立場を守りつつ相手への最大限の配慮をします。
そのため、すごく気疲れします。
「境界立会」は土地家屋調査士にとって最大のイベントであり、適当にはこなせない、精神的にきつい仕事と言えます。
境界確認書のはんこもらい
最後は境界確認書のはんこもらいです。
境界立会が終わると、「境界確認書」という書類を持ってお隣さん宅を訪ねて、所有者から署名捺印をもらいます。
これを「はんこもらい」と言い意外と手こずります。
立会のときには境界を認めていたのに、いざ書類に署名捺印をするとなると、断る方も中にはいます。
そのため、署名捺印をもらうまでは気を抜けません。
土地家屋調査士にとって「はんこもらい」も精神的にきつい仕事です。
土地家屋調査士はきついけどやりがいを感じる仕事
土地家屋調査士はきつい仕事ではありますが、その分やりがいもあります。
例えば、以下のような感じ。
- 依頼主から感謝される
- 古い図面を頼りに境界標を見つけたとき
- 法務局や役所に図面が残る
依頼主から感謝される
やっぱり、依頼主から感謝されるのは嬉しいことです。
きつかっただけに境界が決まり、依頼主から感謝の言葉を頂いたときには達成感を感じます。
古い図面を頼りに境界標を見つけたとき
現場での石探しの際に、ピンポイントで境界標を探し当てたときは気持ちがいいものです。
一見ぱっとみでは分からない位置を古い図面をたよりに、掘り、探し当てるというのは熟練者ならではの技です。
意外とこれが快感に感じる土地家屋調査士は多いようです。
法務局や役所に図面が残る
言うまでもありませんが、境界を決めて法務局に登記をしたら「地積測量図」が残ります。
また、道路の境界(官民境界)を決めたら、役所に図面が残ります。
図面という「目に見えるモノ」として残るのは、やりがいのある仕事と言えます。
また、官民境界について詳しくはこちらの記事「道路の境界線って縁石じゃないの?【官民境界をわかりやすく解説】」をご覧ください。
土地家屋調査士はきついが慣れの部分が大きい:まとめ
土地家屋調査士の仕事は次のようなきつい面もありますが達成感も感じられる素晴らしい仕事です。
- 夏は暑くて、日に焼ける
- 虫刺され
- 境界標探し(石探し)
- コンクリート杭の設置(石入れ)
- 決済日に追われながらの不動産屋とのやり取り
- 境界立会で気疲れ
- 境界確認書のはんこもらい
とはいえ、このキツさは慣れの部分も大きく、慣れていくうちに軽減されます。
そして、精神的なキツさに関しては軽減させるコツというのも存在します。
例えば、境界立会に場に担当の不動産屋を同行させるなどです。
こうしてうまく周りを巻き込むことで、境界を決めることがどれほど大変なのかを身を持ってわかってくれます。
そうすると、どうしてもっていうときに決済日の引き伸ばしを認めてくれたりするのです。
上手く距離感を保ちつつ周りを巻き込むことで、すべて自分で抱えずに済むのです。
このように、やり方次第で土地家屋調査士の仕事のきつさは軽減できます。
また、逆に「きつい」と思われているくらいが参入障壁だったりしますので、土地家屋調査士を目指している方は変に構えなくて大丈夫です。
気にせず突き進みましょう。